Pico Tech - Maple Sugar Spectrum

メープルシュガー

もう数年以上前に買ったもので、忘れて放置されていたものです。
125gということで本当に少量なので、測定器の限界を超えていますが、
しつこく測ると、なんとなくセシウム137の小山が見えている様な気もします。


キューバ産のコーヒーの後に、メープルシュガー125gを「マリネリの縦割り充填」で測っています。

25時間経って、スペクトルが徐々に落ち着いてきたところ。
赤が、キューバ産のコーヒー、薄い緑がメープルシュガー、灰色がBG(空マリネリ)、
濃い緑がメープルシュガーのBG差分。

コーヒーと比べ、このメープルシュガーのK40は、かなり少ないです。量が少ないせいもありますが。
セシウム137は、まだ「見えます」と言えるような状態ではありません。
何を測っているのか知らずに、ただ、このスペクトルを見たら、セシウムは入っていないんじゃないか?
と、思うようなスペクトルです。

縦横を拡大してみるとこんな感じ。
662keV付近で、既にチャンネル当たり2000カウントくらいあるのですが、
それでも、まだまだはっきりとは分からないわけです。
これは、このまま放置して、48時間くらいでどうなるか、見てみます。


先ほどの、拡大したメープルシュガーのスペクトルにスムージングをかけると、こうなります。
差分スペクトルを見ると、K40の小さな山があって、その左に、コンプトン散乱の低い丘があり、
セシウム137のところが左右に比べて、ちょっとばかり小山になっているようにも見えます。
でも、760keV付近もちょっと高いし、まだ、スペクトルのギザギザが収まりきっていない感じ。

3インチのNaIを8cmの遮蔽に入れて1日以上測り、スペクトルの全体像を見る限り
かなり落ち着いて滑らかになっているように見えても、微量の汚染について
調べようとすると、まだ心もとない状態です。


メープルシュガーは、放置していたら、91時間以上経って、こうなっていました。

スムージングをかなり強くして、ギザギザを丸め込んでみるとこういう感じ。
セシウム137の662keVの左右で、コンプトン散乱の丘がまあまあ整っていて、
セシウム137のところが持ち上がっている様に見えなくもありません。

試しに、コンプトン散乱の丘の高さと思われる辺りをベースラインにとって、
ピーク情報でピーク(とおぼしき所)のレートを出してみました。

スムージングなしだとこんな感じ。
そもそも、バックグラウンドが2日くらいのものなので、検体を長時間測っても、
バックグラウンドのギザギザよりも滑らかになる事はありません。

スムージングでギザギザを丸めた状態と、生の状態を見比べたり、することで、
K40や他の核種がある検体でも、セシウム137のピークの根元(ベースライン)を
どんな風に想定すればよいのか?というのが、分かりやすくなります。

スペクトルのギザギザを「ゲジゲジ虫」と見なすと、ゲジゲジの左右の足ではなくて、
真ん中の「胴体」が、(予想される)本来の線の高さに当たるわけで、K40が含まれる場合は、
セシウム137(そしてセシウム134)の右側のK40のコンプトン散乱の滑らかな丘を
想像して、そこに「上乗せされている分」について注目し、計算すれば良いわけです。

メールで問い合わせのあった方たちにテストして頂いているこの版では
今までのものよりも、スムージングの幅が広げてあるので、
そうしたいのなら思いっきり丸めることが出来ますし、色々と試して
学習することが出来ます。


去年、前のアパートで同じメープルシュガーをCsIの2.5インチで測った時は、こういう結果でした。

で、こんな風に推測していました。
  20Bq/cpsで計算すると、0.01 x 20 = 0.2Bq がこの検体に含まれていて、
  重量当たりの濃度は、0.2 / 0.124 = 1.6Bq/kg くらいと予想されます。 

これに対し、今回3インチのNaIで測った結果では、ピーク部分のレートが0.008cpsくらいで、
前回のCsIでの測定よりも、効率が低い(25Bq/cps)?みたいにも思えます。

まあ、どちらの測定も、とってもビミョーなもので、あんまり正確ではないでしょうから、
もう少し汚染がはっきり分かる検体で比べてみないと分かりませんし、
NaIの方がエネルギーの高い方へ行くにつれて効率曲線の下がり方がCsIよりも急なので、
そういう影響も、もしかしたらあるのかも、とか思っています。

ただ、効率曲線の下がり方は、結晶の大きさにも影響され、結晶が大きい方が
エネルギーの高いほうでの検出効率の落ち方が少ないので、Cs137の位置での
理論上の効率がCsI2.5インチとNaI3インチでどう異なるのか、ちょっと疑問。
(なので、結晶が小さいNaIの検出器は、エネルギーの高い方が苦手で、
K40を捕らえにくかったりするのに対し、CsIの方は3ccくらいの小さな結晶でも
まあまあ見える。)

Identify.exeで、試しにCsI2.5インチを設定したら、NaI3インチを100%として
122%の相対効率だと言っていますが、NaIの3インチを設定したら、相対効率が
100%ではなく、69%だと言っているのでどれくらい正しいのか、よく分かりませんが、
計算上の効率曲線をみると、やっぱりCsI2.5インチの方が効率が良いみたい。
そうなのかな?


測定終了時のスペクトルとデータ

340609秒=94時間半=約4日の測定です。
BGが二日くらいのものなので、検体だけ長く測っても大した効果はありませんが。

http://pico.dreamhosters.com/raddata/ca/M_sugar_125g_3-8_TPA_LC4/ThereminoMCA_2015_02_08_09_42_00-M_sugar_125g_3-8_TPA_LC4-N3.txt
http://pico.dreamhosters.com/raddata/ca/M_sugar_125g_3-8_TPA_LC4/ThereminoMCA_2015_02_08_09_42_00-M_sugar_125g_3-8_TPA_LC4-N3.spe


データ

http://pico.dreamhosters.com/raddata/ca/M_sugar_125g_3-8_TPA_LC4/

BGデータ

http://pico.dreamhosters.com/raddata/ca/BG_3-8_TPA_LC4

http://pico.dreamhosters.com/raddata/ca/BG2_3-8_TPA_LC4


Last modified : Sat Feb 28 06:20:34 2015 Maintained by nkom AT pico.dreamhosters.com