Pico Tech - Smoothing Test1

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テレミノMCAの(新)スムージング設定のテスト

テレミノMCAのIIR フィルターによるスムージングは便利ですが、もう少し強くかけられる様に改造してテストしてみました。


次に、ピーク情報機能のデバッグを兼ねて、設定の範囲などを改造して(新)スムージングの効果を
K40とCs137のピークでテストしてみました。


K40のピーク

単一ピークなので、分かりやすいです。

98%だと、(目的などにもよりますが)スムージングのかけ過ぎと言って良いでしょう。
ピーク情報機能が出しているガウス曲線(赤い線)とスムージングを施したスペクトル(濃い緑)が山の上の方で一致しません。
これは、ピーク情報機能のガウス曲線は、ベースラインの傾きを考慮していない為と、
コンプトン散乱やベータ線の連続スペクトル成分や効率曲線による変化も考慮していない為です。
このせいで、Net Area(ガウス曲線の面積)やNet Real(真の計数率、山の部分のカウントの合計、山の面積)の数値も
あんまり信頼できません。
Net Area(ガウス曲線の面積)のレートが0.431cps、Net Real(実際のカウント数の合計)のレートが0.509cps。

96%で、コンプトンバレーのせいで左の下の方が合わないのを除けば、(理想的なピーク形状に近い)ガウス曲線と
スムージングをしたスペクトルは、まあまあ一致しています。
Net Area(ガウス曲線の面積)のレートが0.403cps、Net Real(実際のカウント数の合計)のレートが0.453cps。

94%でNet Area(ガウス曲線の面積)のレートが0.400cps、Net Real(実際のカウント数の合計)のレートが0.440cps。

92%でNet Area(ガウス曲線の面積)のレートが0.395cps、Net Real(実際のカウント数の合計)のレートが0.433cps。

90%でNet Area(ガウス曲線の面積)のレートが0.392cps、Net Real(実際のカウント数の合計)のレートが0.430cps。

88%でNet Area(ガウス曲線の面積)のレートが0.392cps、Net Real(実際のカウント数の合計)のレートが0.428cps。

86%でNet Area(ガウス曲線の面積)のレートが0.396cps、Net Real(実際のカウント数の合計)のレートが0.428cps。

84%でNet Area(ガウス曲線の面積)のレートが0.398cps、Net Real(実際のカウント数の合計)のレートが0.428cps。

80%でNet Area(ガウス曲線の面積)のレートが0.393cps、Net Real(実際のカウント数の合計)のレートが0.425cps。

70%でNet Area(ガウス曲線の面積)のレートが0.393cps、Net Real(実際のカウント数の合計)のレートが0.421cps。
スペクトルは、滑らかとは言えなくなってますが、まだ、ガウス曲線とはまあまあ一致していますし、レートの数値も変わっていません。

50%でNet Area(ガウス曲線の面積)のレートが0.403cps、Net Real(実際のカウント数の合計)のレートが0.421cps。
これくらいだと、もうかなりギザギザで、スムージングが足りない感じ。ガウス曲線も、実際のピークより高めになっています。

30%でNet Area(ガウス曲線の面積)のレートが0.363cps、Net Real(実際のカウント数の合計)のレートが0.411cps。
ピークの上も下も、ガウス曲線とスペクトルがズレていますし、レートも少し外れてきています。

ガウス曲線とスペクトルがまあまあの一致を見せた96%から70%のスムージングの範囲で、
Net Area(ガウス曲線の面積)のレートは0.403から0.393cpsと、3%以下の違いに収まっていますし、
Net Real(実際のカウント数の合計)のレートも、0.453から0.421で、8%以下の違い。

もう少し一致の度合いが良かった92%から80%の範囲でなら、これらの違いは更に小さくなっていました。

また、Net Area と Net Rate の違いも、8%以下で、まだ改良の余地は沢山ありますが、
素人測定用の「簡易法」や「目安」としては、まあまあ使えるのではないかと思います。


Cs137のピーク

これは、少量(38g)のカナダ東部の腐葉土のサンプルで、Cs137が総量で1Bqあるかないかくらいなので、
「微妙なスペクトル」のテストになっています。
2時間か3時間測って、ようやくピークがなんとか見えてくる程度で、15時間以上の測定でこうですし、
これ以上長時間測っても、この(使いまわしの)BGでは、綺麗な山には、なりそうにありません。
ですので、定量的な推定をするのは、このままでは困難ですし、ピーク情報の数値の信頼性はかなり低いです。

こういう微量の汚染になればなるほど、BGスペクトルの質や測定環境の安定性などが重要になり、
安定性が低いと時間を延ばしてもバラツキが収まるどころか増えたりすることになります。

以下の結果を見ると、Net Area と Net Rate があんまりバラつかない様なスムージングの範囲が
(条件が良かった)K40の場合に比べて遥かに狭く95%から87%くらいなことが分かります。

K40での結果と合わせると、92%から87%くらいのスムージングが、この測定のこの測定時間に於いては
適切らしいと思われます。
ただし、測定時間によっても、検体やその他の条件で色々と大きく変わるので、今のところは
実験的に調べるしかありません。

その適切そうな範囲内でもNet Areaで13%くらい、Net Rateで21%くらいの違いが見られますし、
こういう条件では、そもそも、この簡易法で想定している状況から外れているので、
「素人測定用としては、まあまあの結果」すら得られません。

「素人的」には、「山は見えています」と(控えめに)言っても良いかと思いますが、
量的な推測は、当てにならない、信頼性が無い、たまたまそれらしい数値になったり、
しばしばかなり違ったりする、ほとんど数値遊びに近いレベル、という感じかも。

どうしても、もっと信頼性の高い結果が欲しい場合は、測定環境の安定性の向上や、
BGの取り直しや、検体の増量や濃縮などなどの地道な努力がもっともっと必要になります。













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Last modified : Fri Oct 3 17:05:05 2014 Maintained by nkom AT pico.dreamhosters.com