Pico Tech - Radiation Deserate Vs Temperature

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(モニタリングポストの)放射線量率表示と温度などとの関係 Radiation dose rate VS Temperature

放射線量グラフの読み方 のページや、神奈川県川崎市の浮島局などの問題のページでも触れましたが、
(特に東電福島第一原発の近くの)モニタリングポストの線量率表示に良く見られる一日周期の変動について、
それが、温度、降水、日照、風向風速などの条件とどう関連しているのか? そして、

果たして、モニタリングポストは、本当に放射線量を測っているのか、それとも、他のものを測ってしまっているのか?

という点を自分なりに明らかにしたいと思い、最初は安直にエクセル、それからGnuplotを使って線量データと気象データを
組み合わせて、調べてみました。

これは、(特に高線量地域でよく見られる)大きな日間変動に興味を持ったのがきっかけです。当初は、測定機は十分な温度補償がなされている
という前提で、空中や土壌の水分の状態などによる遮蔽効果の増減が主な原因ではないかと考えていましたが、モニタリングポストの設置状態、
管理状態、位置情報、品質などなどについて、次々と疑問を持たざるをえない現象に遭遇したので、もっと詳しく調べようとして、データの収集や
表示の方法について、あれこれと試行錯誤をしながら進めてきた結果です。


線量計が温度計の様に作動している例

たとえば、ここは、主に「気温」を測定していて、「線量も」ついてに見える、という感じで、普通の状態か異常なのかを判断するには、気温のパターンとの比較が欠かせません。
逆に言えば、気温と合わせて見るならば、結構分かりやすい測定地点でもあります。
赤い線が温度で目盛りは右側の赤い数字。黒い線が線量率で、目盛りは左側の黒い数字。

モニタリングポストの線量計が温度を非常に正確に捉えている(褒めてはいないですが)のが実感できる例、その2。

あまりにも良く一致していて紛らわしいので念の為書いておきますが、赤い線が温度で黒い線が線量の推移です。

こういう例は、珍しくありませんし、気象情報と一緒に検討するのであれば、それほど障害にはなりませんが、感雨か降水、そして温度や日照などの情報無しで
量の推移だけ見ても、何がどうなっているのか、よく分からないでしょう。

ここは、気温と連動し、高線量なので雨が降ると水分の遮蔽で線量が下がるパターン。

逆に、気温と反対の動きをする場所もありますし、線量が低ければ、雨で上昇する場合の方が多いです。(その後少し下がる場合もありますが)

また、これに、日照で線量が上下する性質が絡んで来たり、気温の急変化にだけ反応するタイプ、などがあり、それらの組み合わせで結果が変わるので、
注意深く観察し、おおよそのパターンを掴んでからでないと、異常なのかどうかなんとも言えなかったりします。

これに加えて、周辺の地面が舗装か草地などの土壌か、とかでラドンの地面からの放出によ、汚染物質からの放射線の遮蔽効果にせよ雨の水分での反応に違いが出るでしょうし、「駐車の遮蔽」や「汚染車両などの放射線」がこれらに混じってくると、もう大変。


分かったこと

これは、2年近くの線量の変化と、気温などをプロットしたグラフです。気温などは、事故った原発に近い福島県広野のデータです。

御覧の様に、線量の高い地点でも、低めの地点でも、気温の大きな変化と連動した様な目立つ動きはありません。
従って、測定機の中には温度補償が十分でなかく、測定値が変化するものがあるかもしれないとは言え、
「外気温」だけで、大きな変化があるわけではなく、何か他の要因が絡んでいる ことが予想されます。

 
次に、もう少し細かい変化が見られる様に、2013年の9月だけ出してみます。

まず、一番線量が高くて、朝晩の変動も大きい夫沢三区に注目します。(一番上の赤い線。)
降水のある日は、朝晩の変化が少なく、天気の良い日に変動が大きいのが分かりますが、
気温が朝夕の変化以外にもかなり動いているのに対して、線量の変化は追従している様には見えません。
例えば、9月の末になると、天気の良い日でも、最高気温が20度ちょっとになり、最低気温は10度近くまで
下がっていますが、線量には目立った変化がありません。
従って、「このモニタリングポストについて言うなら」、オレンジ色の線で示されている日照の方が、
「外気温」よりも大きな影響を及ぼすものと思われます。


2013年6月からの推移(夫沢三区)

6月6日と、6月9日を比べると、似たような気温の変化があっても、日照条件が違うと、線量の減少がまるで違うことが分かります。
その一方で、6月5日と、6月9日を比べると、似たような日照条件であっても、気温の変化の大きさや早さで、線量の減少が違うのも分かります。
つまり、日照条件が良くて、急激、かつ大きな気温の変化のある日に、(お昼前にかけての)一番大きな線量の減少が見られるようです。
6月11日は、ちょっと不思議で、日照条件も悪いし、気温の変動もほとんどないのに、線量が少し動いています。今のところ謎です。


そこで、もっと細かく見るために、6月3日から7日間と、6月7日から7日間を表示して比べてみました。
すると、(まとまった)日照が始まると直ぐに線量の急降下が始まることが分かります。

日照条件もわるく、気温の変化も少ないのに線量変化があった6月11日付近をさらに拡大してみましたが、風向風速や他のデータを比較しても、理由が思いつきません。

強いて言うなら、日の出から東の風が吹いて、それが南にまわるのが普通だとするなら、6月11日は、ずっと東のままでしたが、それが線量の変動に結びつくものなのか疑問です。

もしかすると、気象データは、広野のものなので、夫沢三区では、日照条件がもっと良かったのかもしれません。


2013年の8月7日から10日ほど、変動が一番大きくなっています。日中に2マイクロシーベルト/時ほど
減少し、その後で比較的緩やかに上昇して元に戻っています。
ただし、8月9日の様に気温が高くても、日照が良くないと、さほど減少しないことが分かります。
恐らく、測定機の筐体内の温度と、温度補償の追尾のロジックなどが絡み合って、この様な結果になっているのではないかと思われます。

12月の6日や7日の様に、冬であっても、天気が良く、日照が十分にあって、気温の変化が大きい時に、線量の減少が大きいようです。


拡大して見ると、冬場は、日の出とともに直ぐに線量が下がるのではなく、少し遅れる場合があるようです。これは、気温の上昇の遅れとも一致しているようです。


真冬のパーターンは、日照がまあまああっても、線量の減少は、ほとんどないもの。日照と連動して線量が減る(このMPの)通常のパターンと違い、午後に少し線量が増加しているように思えます。



2月初めの大雪の後、徐々に雪が減って、線量も元に戻ってきますが、その際には、明らかに気温と連動して、線量が上昇するという、夏などの通常のパターンとは違う動きがありました。


ここらで、通常のパターンが完全に復活します。どうやら、最低気温が10度を下回らないくらいだと、通常パターンになり易いようです。


MPが表示する線量率は、一年前よりかなり下がっています。ただ、機器の調整や周辺の除染の影響もあると思われるますし、MPから少し離れた地点ではどうなのかは分かりません。


夫沢三区について

以前、私はこのMPで線量の減少が起こるのは、空気中や土壌の蒸気が日の出付近の一番気温が下がる時に凝結して水分となり、その遮蔽効果で起きるのではないか?と考えていましたが、それよりも日照と気温の変化と温度補償の追尾の問題によって起こっているのではないかと思うようになりました。

従って、このMPで、異常な線量の変化を察知したい場合には、日照状態や気温などによる影響を差っぴいて考える必要があるのでしょう。


2013年6月からの推移(夫沢一区)

夫沢三区より、大分線量が低い夫沢一区のモニタリングポストも調べて見ました。

こちらは、夫沢三区と違い、日照で線量が下がるということは無く、逆に日照で線量が上がっているように見えます。
で、温度の上昇と日照の両方が、線量の上昇に結びついているものと思われます。

夫沢三区では、日照で線量が下がる効果が強いが、外気温の上昇は、時間差はあるかもしれませんが、若干線量を上げるように働いていたようにも思えます。

ともかく、このMPでも、線量の上下は、日照と気温に左右されるので、原発由来の微妙な変化を素早くキャッチするのには、かなりの注意が必要でしょう。


石淵公園の場合

普段のギザギザが大きくて、朝晩の変化とか、あんまり分かりません。
6月7日の零時と、6月13日の零時に、ちょっと線量の上昇がある様にも見えますが、何故だか全然分かりません。
移動平均とかとらないと、このままだと分かり難いですし、いずれにせよ気温や日照の影響はあまり無いように思いました。


拡大しても、こんな感じです。


山形県飯豊町の場合

2012年の春に測定が始まってからの推移を出すと、こんな感じ。
気象データは米沢のものですので、ちょっと距離もありますが、気温が10度くらいよりも下がると、線量がそれにつれて下がっている様に見えます。
ただ、実は「積雪による遮蔽」という、良くある現象と、雪解け後に地面がだんだん乾いてラドンも出てくるようになったり、土壌の汚染があるなら水分による遮蔽も減って線量が上がる、という仕組みなのでしょう。

何故かと言うと、この測定機は、朝晩の気温の変化や日照に関しては、非常に安定しているので、「季節的な気温の変動だけ」に追従して、朝晩の変化には無反応というのは、ちょっと考え難いからです。(何か特別な理由があってそうなるのかもしれませんが・・・)

2013年の9月中旬の日間変動でも、線量は安定しています。ただ、このモニタリングポストは、冬でも夏でも、とにかく感雨に敏感に反応して線量が上がります。
ラドンが豊富な空気が、頻繁に上空にあるのか、「他のもの」によるのか、分かりません。

また、この測定機は、気温の低い方は、確かに苦手みたいで、冬場には測定が良く途切れていました。気温のせいなのか、雪の圧力とか、湿度によるものなのか、なんなのでしょう? 追加 冬の気温の低下によるバッテリーの性能の低下や、日照時間の減少による充電不足、そして、充電不足が続くと(鉛蓄電池を使用している場合は)バッテリーが劣化lしやすい為かもしれません。その他に、回路や測定器の設計か製造が低温に耐えられないものだった可能性なども考えられます。

おまけに、この測定地点でも、2014年の7月にスパイクが見られました。原因は不明。同じ様な時間に、一回ぽっきりのスパイクが三日連続で起きたので、注目していたのですが、止んだ様です。


奈良県宇陀市の場合

気温との連動としては、夜から朝にかけて気温が下がると、それに連れてほんの少し線量が上がるようですが、これくらいだと気温のせいなのか、ラドンなのか、よく分かりません。
ここは、特に目立った点は、無いのですが、今年の春に線量が若干上昇したのが興味深いです。もしも、周辺でも線量の上下がその2,3日前や2,3日後などにある場合は、校正作業で線量が変化した可能性が高いかと思います。

ここで、3月18日の午後から夜にかけて、風が吹いて、少し雨も降って、線量が上がってそのままになっています。
つまり、短寿命核種だけでなく、もっと半減期の長い核種が舞っていた可能性があります。
もちろん、測定機自体の問題や、MP付近にレンガや陶器などの線量が高い物質を置いた、といった人為的な理由や、冬場に線量が低くなる要因があったことも考えられますが、他の地点と比較することで確認できるかもしれません。
ちなみに、この時、南の風だったのが、西からの風に変わっていますし、それと同時に気温も降下しているので、寒冷前線が通過したものと思われます。
その後で、雨の日もあって線量が上がりますが、それは短寿命核種で、きちんと、また元の線量に戻っています。

気になったので、もっと前に遡ってみましたが、去年の冬は、特に下がってなかった様です。2014年は、雪でも積もったのか、それとも降水量が余程多かったのでしょうか?
また、これを見る限り、2014年の3月の上昇は、以前の線量に戻った動きの様にも思えますので、春風で、長寿命核種が飛んできた、という説は、あまり考えなくても良いのかもしれません。ただ、その場合は、何故、2014年は、冬場に線量が減少したのか?が問題です。

線量が落ちたのは、クリスマスでした・・・。で、春分付近で元に戻っている。
また、線量の落ち方が急激で、かつ、雨風や気象現象との関連が全然見当たらないので、モニタリングポストの近くに車とか何かを置いた、とか、またまたくだらない原因で起きた現象の可能性もあります。念の為、MPの座標とかでグーグルマップなどを見て見ましたが、どこにあるのかは特定できませんでした。
全てのMPの設置場所付近の写真があると良いのですが。(群馬県で、有志が作っているMP設置状況のページ: http://www8.wind.ne.jp/snap-fan/Radiation.html


山口県萩市の場合

ここは、朝晩の変動が結構あります。また、アメダスではなく、気象台なのか、気圧や湿度のデータもあるので追加してみました。
湿度は、100%が右側の10の目盛りに相当し、気圧は、1000ヘクトパスカルが0、1010ヘクトパスカルが10という風になってます。

2014年に入ってからの変化は、こんな感じです。

このMPの2014年1月からの詳細な推移は、別のページにまとめました。

Hagi Yamaguchi2014


関連するページ


幾つかの地点の線量の推移と気象データ


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