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Date: 2015/08/30 05:41(41)  ---  Name: nkom


バークレーのリアルタイムスペクトルモニタリングが復活していました。
それに伴い、サイトも若干リニューアルし、残念ながら消えてしまったグラフもあります・・・
(画像などのURLも少し変わっていました)
http://radwatch.berkeley.edu/airsampling





うちのスペクトルモニタリングのページからも、日間、週間、月間、年間のグラフが
一度に見られるようにしてあります。(ただし、年間のグラフは、ちょっと変)
http://pico.dreamhosters.com/BackgroundRadiationOfMyHome.html


Date: 2015/08/30 03:54(05)  ---  Name: nkom


日本分析化学会東日本大震災関連情報サイト
もう既に見たことのあるもの、ここで紹介した情報もありますが、
初めて見たものもありました。
http://www.jsac.or.jp/eq/index.html


全国空気吸収線量率データベース
事故前のデータです。
http://www.nirs.go.jp/db/anzendb/ERLABE/Erlabe.php


世界各地のCTBTOで観測された核種のエクセルデータ
グラフになっているものは、日本分析化学会のページにも上がっていますが、
エクセルのデータがあるのは、知りませんでした。
http://www.unscear.org/docs/reports/2013/UNSCEAR_2013A_B-1_CTBTO_particulates_air_2014-07.xlsx



フィンランドの線量って、結構高い。
http://www.stuk.fi/web/en/topics/environmental-radiation/radiation-today



Date: 2015/08/29 17:29(36)  ---  Name: nkom


学者さんの真面目な方法は、私には荷が重いので、期待してお任せするとして、
トリウム系、ウラン系、そしてK40などの単一スペクトルの応答関数をやっつけて、
Gnuplotでのピークフィットが簡単に出来る様にするために、
サボっていたトリウム系のテストを再開しました。

これは、IFKRのラジウムボール(だけど、完全にトリウム系)のスペクトルを
テレミノMCAで読み込んで、SPE形式で保存し、Identify.exeで読んで、
ピーク検出を行い、Th232のピーク群(Tl208,Ac228など)を平衡状態の
放出割合でもって、CsIの1インチくらいの検出器に相当する(筈)の効率曲線で
ピーク群を予想してみた結果です。


で、911keVのところのAc228の複合ピークの高い方の二つが、
Th232のリストから漏れているらしいことや、エネルギーの高いほうの効率が
多分実際よりも低く計算されているみたいなこと、とか、低い方は
大分違っていて、もっと詳しく考える必要がありそうな点などが見て取れます。

色々と違ってはいるものの、それぞれの核種のピークのリストを自由に変更したり、
検出器の結晶の種類や大きさを変更してみたりして、その結果を視覚的に
確認できる大変役に立つソフトです。

もちろん、分解能も測ったり、設定して、それに基づいて計算してくれるし、
特定の測定器に限定したものではなく、HPGeから、CsI,NaIを含め、
CdTeにまで対応していて、しかも、結晶の大きさや吸収剤の効果まで
全部計算してくれるという、ベクレルモニター系のソフトとは比較にならない
柔軟で勉強になるソフトです。

私は、一番最初に触れた核種分析のソフトがこれだったので、
テレミノMCAとかを触り始めた時に、その落差に戸惑ったり、
がっかりしましたが、改造を重ねて不満点を徐々に解消してきたわけです。

で、私が個人的に使っている分には、汚染が有りそうかどうか、
どれくらいの汚染が有りそうか、判別するのには事足りるのですが、
経験が少ない人にとっては、現状では「とても分かりやすい」とは言えないので、
素人向けの強化(つまりは、初心者に代わって、ソフトが一生懸命
色々な点を検討したり、計算したりする、という仕組みとか)をやったりしています。

現在、色々なトリウム系のスペクトルを使って、Ifentify.exeやGnuplotで
私が作っているスクリプトで確認しようとしているのは、トリウム系の主要なピークのうち、
どれを含めるとおおよそのピークフィットに十分か?という点と、
平衡状態にある筈だと仮定して、トリウム系を束ねて扱うのか、
それとも、Tl208とAc228、Pb212などをグループ分けするか、
あるいは、その両方をサポートするか?といった問題。

どいうのは、先日の胡椒のスペクトルを見ると、Ac228の割合が、
平衡状態の抄出割合から予想されるものよりも大きいような気がして、
もしかすると植物などの検体の場合、元素ごとに移行率なども違うのでしょうから、
トリウム系が含まれているからと言って、単純に平衡状態にあると
仮定したらマズイ可能性があると思い始めたからです。

本当は、一つ一つ分けて扱えば良いのかもしれませんが、
Gnuplotのピークフィットで扱える変数の上限とか、
計算の速度とか、そういう問題もあるし、
出来るだけ簡略化して行いたい為に、どれくらい手を抜いても
大丈夫なのか?というを知りたいわけです。


Date: 2015/08/29 13:24(34)  ---  Name: nkom


応答関数関連の論文二つ

少し古いもの。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jhps/44/1/44_1_122/_pdf


去年だったか、新方式の測定器を開発、というニュースがありましたが、それの仕組み。
応答マトリックスでもって、NaIのぼやけたスペクトルを解析して、鋭い光電ピークに変換する、というもの。
EGS5を使って、応答関数でもってNaIスペクトルのシミュレーションが出来るのだから、
同じ応答関数でもって、逆の演算もできる、という感じでしょうか。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jhps/49/1/49_45/_pdf


これは、テレミノMCAに以前追加された試みとは全くの別物で、
私が、核種や系列を限定し、超簡易方式でやろうとしていることを、
真面目に、まともにやったもの、という感じ。



もし、「特定の測定器」の応答関数ではなく、
K40、Cs137、ウラン系といった、幾つかの実測スペクトルから
どんな検出器の応答関数でも生成出来る様になったら、
どんな測定器のどんなジオメトリーでも、
2,3の線源を入れてマトリックスを生成したら、
後は、それで逆に解析が出来る、という、
非常に簡単な仕組みが出来るかも。

現在、応答関数マトリックスは、とても真面目に検出器の形状とか、
それを覆っているアルミやプラスチックの材質や厚みとか、
マリネリなどの容器の形状や材質や厚みとか、
遮蔽などのもろもろのデータをEGS5に入れて生成しているのだろうと
思いますが、その細かい部分を省略して、実測スペクトルを入力することで
補完することが出来ればよいわけです。




もし、そういうもの出来たら、一種のシンチレーター用万能解析方式ですから、
測定は、簡単になり、信頼性も向上すると思われますし、
測定器の細かな性質がほぼ不明の素人測定にとっては、画期的です。
つまり、測定器の効率や分解能などの解析を幾つかの線源で行うと、
それで応答関数が生成されて、そしたら、任意の核種の解析が出来る、
という風に持っていける可能性が高まるからです。

で、測定器と応答関数の生成やスペクトルの解析用のハードとソフトは、
「同じ場所にある必要はない」ので、たとえば、誰かが、応答関数と解析の
プログラムを入れたサーバーを管理して、利用者は、そこに線源の
スペクトルを送って応答関数を生成し、検体のスペクトルを送って結果を得る、
という形式にすることなども可能でしょう。


これは、真面目な学者さんなどに是非やって欲しいと思います。


Date: 2015/08/29 12:37(34)  ---  Name: nkom


「今のところであるが
1インチのシンチレーターならばやはり300mlから330ml
の体積の試料がよさげで
しかも
シンチレーターの結晶部分の全部を試料に埋め込まず
半分ぐらい埋め込むのに留めると、検出効率がやたらに良い。
たぶんその理由は試料表面からの放射の感知しやすいからか?」


「つまりシンチレーターの結晶部分のすべてを
試料の中に埋まるジオメトリーにすると詰めこんだわりには
試料の自己遮蔽の影響も受ける。

ところが試料に半分ぐらいまでシンチレーターを埋めると
「試料の表面」からの放射は
そのまま「シンチレーターの側面の上半分」が捉える?」

==============

カウント数が足りなくて、ギザギザでうねりまくりのスペクトルからの
無茶苦茶な計算で出てきた当てにならない結果を利用して、
真逆の方向へと仮説を作っていらっしゃる・・・

10Bq/kgくらいの、はっきり山が見えて、変な計算法でも
そんなにおかしな結果にならない様な検体を使って
もっと信頼性の高い測定結果で(何度か)再確認してみればよいのに。



それに、PCのマイク入力が変なら、単に外付けのUSB音声入出力ドングルを
試してみれば、修理なんかするよりはるかに簡単で安上がり。

テレミノPMTアダプターで使っているドングルは、数百円の安物。
それでも、もう2年かそれ以上、ぶっ続けで動き続けて、全く問題なし。



Date: 2015/08/29 05:04(05)  ---  Name: nkom


放射能の生物への影響については、私は詳しくは分かりませんが、
世代交代の早い微生物とかの方が、影響を受けやすいのでは?とか思っています。

例えば、人間の体内や、皮膚などには、沢山の微生物が住み着いているそうですが、
人間自体は影響を受けていなくても、こういう生物が放射能で少し変になったりする可能性は
とても低い線量とかでも、若干あるのではないか、と思うわけです。

で、変わり方によっては、(その微生物のせいで)「間接的に」人間にも
悪い影響が出る場合もあるのかも。

おまけに、免疫機能や、ホルモンの分泌や神経などの調整機能とかが
少し変になったりすると、本来ならば影響を受けない程度のことにも
反応してしまう可能性もあるんじゃないのかと思います。



Date: 2015/08/28 14:56(00)  ---  Name: nkom


これは、素人測定なので、まあ、酷い勘違いにいつまでも気づかなくても、
まあ仕方がないと言うか、熱意や努力が空回りしてしまってもったいない、
と思うだけなのですが、黄色に色付けした、ギザギザの中の、
しかも若干凹んでいる部分をピークだと思い込み、「定量出来ました」、
しかも、検体量を減らしたら、良く見える様になりました、と、
完全に逆の方向へ行ってしまっている例。



ただ、この方のお陰で、1インチのアルマジロを5センチの遮蔽で囲い、
9時間測っても、0.6Bq/kgの濃度で242gですから、
0.15Bq程度のCs137が検体に含まれていても、
「全く何も見えない」というのが良く分かりました。

ちなみに、計算方法や記述や、その他諸々に色々と問題が多いので、
理解しようと努めない方が吉です。
もちろん、ベースラインのとり方とか、滅茶苦茶ですし、スペクトルの表示の仕方、
画面に含める情報(というか、カウント数やマーカーや設定などが隠されている点など)
真似したり影響を受けると芳しくないことが山盛りなので、要注意です。



でも、3.6Bq/kgの濃度の検体なら288gもあると
約1BqのCs137が検体に含まれ、10時間も測ると
ギザギザからしっかり頭を出して見えるので、
数万円の測定器としては、優秀だと思います。



その中間で、1Bq/kgくらいの濃度のものを622g入れて、7時間測り、
検体の中に0.6BqのCs137があっても、「見えている」とは思えません。
これは、水物なので、余計難しいのかもしれませんが。


で、検体量を減らしたら、測定をしているご本人は、
良く見える様になったと思っていらっしゃるのですが、
検体のスペクトルは、「K40の小山ですら形が綺麗に出てない状態」なので、
要は「確実なことがほとんど何も言えない程度のカウント数しかない未成熟なスペクトル」
なのだと思います。
思い違いを維持するのには、不確実なギザギザやうねりが増える、
より少量の検体の方が都合が良かった、ということなのかも。




結論としては、1インチのアルマジロでも、検体に1Bqくらいのセシウムがあれば、
遮蔽が十分で、他の条件も悪くないなら、小山が見えるかもしれないが、
0.6Bqとかになると、多分、もう無理、という感じかも。



もっと測定環境を安定させたりして測定時間を長くしたり、
小型検出器の利点を生かして、検出器の周囲を全部検体で覆う、とか、もっと工夫をし、
BGスペクトルももっと綺麗なものになる様に注意して測定したりすると、
もう少し頑張る余地はあるのかもしれませんが、信頼性が少し高まったり、
小山が見える限界が少し低くなるだけなので、時間や労力を費やす価値があるのか、
個人的には疑問です。

やはり、それ以上を知りたい場合、手っ取り早いのは、税込み32万円の
AT1320Aを買ってしまう、とか、アルマジロのもっと大きいモデルや
チャッピーの2インチ版を使うとかした方が、現実的、実用的でしょう。




Date: 2015/08/28 14:15(36)  ---  Name: nkom


先ほどの続きで、Bq Calic(画面表記のまま)のボタンを2度目に押すと、こうなるのです。
で、この症状は、どうやらBq Calicなどのボタンを押したときに、検体のスペクトルの
チャンネルピッチが倍の密度に解釈されるようになってしまう為?みたいなのです。



差分スペクトルに加え、検体スペクトル、元の検体スペクトルを一緒に表示してみた例。
そういう設計なのか、私の操作方法が正しくないのか、バグなのか、不明です。
もしかしてもしかすると、時々見かけるナゾの数値は、こういう現象が原因だった可能性もあるかも。
ただ、内部の動作が分からないのはもちろん、基本的なボタンの操作方法とかも、
まだ理解しているとは言い難いので、「今のところの私の憶測」に過ぎませんが。




Date: 2015/08/28 14:05(02)  ---  Name: nkom


テレミノMCAにIFKR(ZIPではなく、254)で測った柏でののスペクトルを読み込んでみた例。
某氏より去年送って頂いたスペクトルなのですが、当時メールを見落としていて、
IFKRのデータを探していて発見したものです。(失礼いたしました)

ピーク機能で見る限り、「この測定での」分解能は、9%か10%かそれくらいに見えます。
ただし、測定中の温度変化とかで、ピークのブレとかがあったりすると、
ピークが太って分解能は変化しますので、標準的な条件や理想的な条件下では、
もう少し良い数字が出るのかも。

まあ、こんな風に、テレミノMCAでもって読み込むと、視覚的にも数値的にも
格段に比較検討がしやすいです。



こっちは、IFKRのソフト(ZIP用)で、ラジウムボールを測ったとされるスペクトルを
読み込んだもの。
これ、トリウム系が主で、ウラン系は、入っているんでしょうが、私には良く見えない。
ROIの設定で、Cs228の複合ピークを入れて表示してみましたが、やはり動作が疑問です。
何故かと言うと、検体とBGに同じスペクトルを読み込ませて、こうなるからです。
(Ac−228の上段と下段の数値が理屈に合わない。下段のネットは、ゼロになる筈)



そして、Bq Calicのタブで、検体とBGに同じラジウムボールのスペクトルを読ませ、
Bq Calicのボタンを押して濃度計算をしてみた結果。
検体とBGが同じなので、当然濃度が全部ゼロなのは、分かるのですが、
右上のカウント数の表示で、下段がゼロなのは良いとして、上段が何故にゼロなの?というのが疑問。



テレミノMCAで読むには、FileメニューのAscii Writeで書き出します。



ほんでもって、テレミノMCAで読み込んで、Ac228のマーカーを幾つか出した例。




Date: 2015/08/28 13:29(23)  ---  Name: nkom


検出限界、というか、測定器がどれくらいまで測れるのか?というのに影響すること:

これは、検出や定量的な推測をするのには、対象となる放射性物質(例えば、Cs137とか)の
ピークを形成するカウント数が非常に重要である点に注目すると、理解しやすいです。


つまり、カウント数が少ないと、バックグラウンドのバラツキの幅の中に埋もれてしまい、
ピークの判別が付かず、当然「定量」なんて出来ないからです。

逆に言うと、ピークの領域で、BG差分して、カウント数がまだ一桁とか、二桁くらいだと、
余程そこだけ飛びぬけているのでもない限り、機械が数字を出したとしても、信頼できるか疑問。

ですから、ピークのカウント数を稼ぎ、バックグラウンドのカウント数を減らすのが、
測定器にとっては、望ましいわけです。



それには、まず、検出器の感度(効率)が大事。
シンチレーターの場合、一般的には結晶が大きい方が感度が高い。

シンチレーターは、放射線が飛び込んでくると、
そのエネルギーに対応した量の光を出したりしますが、
結晶が小さいと、放射線が結晶を通り過ぎてしまう率が高まり、
大きい結晶に比べて効率が低くなる。

結晶の大小は、ある程度までは、測定時間を延ばしたり、
シンチレーターから出てくる光を電気信号に変える部分の性能を工夫したり、
幾つかの努力で補えるものですが、それには限度があります。

業界の標準は、NaIの場合西欧だと3インチ、ソ連とかは2.5インチが多い。
持ち運びを考えた測定器とか、用途などによって、それより小さいものや、
大きなものとか、様々な大きさ、形状などのものがあり、
一概に結晶の種類で一くくりに話が出来るものではありません。



遮蔽の厚みや形状とか。
遮蔽が薄いと、周囲の環境放射線の影響を受け、微妙な汚染のピークが
バックグラウンドのバラツキの中に埋もれやすくなるので、
十分な遮蔽が必要な方向に対して施されていることが大事。



測定器の設置環境。
周囲の放射能が低い場所の方が、バックグランドも当然低くなるので良い。
校正用の線源や、検体などは、バックグランドを高める可能性があるので、
出来るだけ遠くに保管したり、遮蔽して保管する。
床や壁や内装、そして、家具や室内にあるものの材質、K40やウラン系、トリウム系の
含有量とかも注意した方が良い。

汚染された地域で測る場合、全体的なバックグラウンドの影響だけでなく、
汚染物質によって、見分けようとするピークの部分のバックグラウンドが
影響を受けてしまう可能性があるので、より一層の注意が必要。



検体の量。
例えば、同じ10Bq/kgの濃度のセシウム137の汚染がある検体でも、
それを1kg測るのなら、合計10Bqの放射能を測るわけですが、
500gなら、5Bqしかないわけです。
で、500gの検体からは、半分のセシウム137の放射線しか出ていないので、
ピークの形成に貢献するカウント数も半分だけになり、
「他の条件が一緒なら」検体の量は多いほど有利になります。



検体の密度。
通常、検体の量は、マリネリなどの容積で制限されますから、
より多くの量を詰め込んだ方がカウント数を稼げるので有利。

それとは別に、検体の主要な物質の密度というのも事故遮蔽とかに影響します。
ただ、自己遮蔽云々を考える前に、「検体に含まれる対象放射性物質の総量」を
気にした方が良いと思います。



ジオメトリー(検体と検出器の位置関係)。
検体が出来るだけ検出器に近い方が有利。
つまり、詰め方が変わると「効率」が変わり、測定結果に影響するので、
詰め方には注意する必要があります。

これは、少量の検体を測る時に、マリネリや他の規定容器の容積に
足りない場合などに重要になります。



で、もちろん、検体の濃度も影響するわけですが、
「検体の濃度だけ」取り上げて、この機械は「5Bq/kg」まで測れます、とか、
そういう言い方は、まあ、なんと言いますか、当てにならないか、
あるいは、他の全ての条件が理想的であった場合の「お話」なのか、
あんまり測定のことに詳しくないのか、色々な意味でかなり「マユツバ」ものだと言えます。



個人的には、とにもかくにも「濃度」ではなく、「検体に含まれる量」でもって考えた方が
はるかに分かりやすく、色々な誤解をしにくいと思います。

残念なことに、マスコミや、一部の伝統などのせいで、放射能のことはBq/kgの濃度で
考えてしまう悪習によって洗脳された人があまりに多いので、この影響で
色々と酷い勘違いをしてしまう例が見られます。



要は、検体に含まれる汚染の総量が、直接カウント数に(おおよそ)比例して、
そのカウント数に比例した高さや面積のピークが形成される、ということです。



結晶の大きさ(容積)の比較:

CsI 1センチ角の結晶 (アルマジロ Type1、など) = 1cc
CsI iMetry = 2cc  6,000 cpm/μsV/h (カタログ値) 
CsI アルマジロ Type2 や チャッピー検出器製品版 = 3cc
CsI PM1703シリーズ、GammaRae2 = 約4cc  6,000 cpm/μsV/h (カタログ値) 実測は、遥かに高い?0.05μsVくらいで、8cps=480CPM以上あります。
CsI PM1406 = 約8cc (カタログ性能値からの推測) 12,000 cpm/μsV/h (カタログ値)
NaI 1インチ((直径1インチ=25mm x 長さ1インチ) AT1125など = 約12.5cc 21、000 cpm/μsV/h (カタログ値)
CsI 1インチ(2.54cm)角 アルマジロ Type3 = 約16.4cc  28、000 cpm/μsV/h (実測+推定)
CsI 1インチx1インチx2インチ チャッピーデジタル211 = 約33cc 50,000 cpm/μsV/h (カタログ値)
CsI 1.5インチ角 x 1インチ厚 HSF(ホットスポットファインダー) = 36cc  40,000 cpm/μsV/h (カタログ値) 
NaI 1.5インチ (直径1.5インチ=40mm x長さ1.5インチ) Sovtube小= 約50cc 60,000 cpm/μsV/h (実測+推定)
CsI 2インチ角 x 1インチ厚 IFKR−ZIP = 65cc
NaI 2インチ (直径2インチ=50mm x長さ2インチ) = 約103cc FUIジャパン2インチなど
CsI 2インチ角 アルマジロ2インチ角 = 131cc
CsI 2.5インチ (直径2.5インチ=63mm x長さ2.5インチ) Sovtube大= 約196cc 240,000 cpm/μsV/h (実測+推定)
NaI 2.5インチ (直径2.5インチ=63mm x長さ2.5インチ) Atomtex1320= 約196cc
NaI 3インチ (直径3インチ=76mm x長さ3インチ) NaI標準 = 約347cc  EMF211など多数


もちろん、容積が約347ccの3インチの測定器なら、1インチ角で容積が約16ccのアルマジロの
20倍以上の感度があり、容積が約65ccのIFKR−ZIPの5倍の感度がある、と、簡単には言えません。


また、検体の量も非常に大きく影響するので、標準的な1リットルとか1.5リットルなどの容量よりも
小さな容量しか測れない測定器の場合、稼げるカウント数がさらに少なくなり、
同じ信頼性を得るのに必要な時間がもっともっと長くなったり、
見分けられる最小の汚染がより大きなものに限られてしまいます。

これは、根性、大和魂、中高年のロマン、各種の権威、通常の技術的工夫などなどでは、
残念ながらどうしようもないことです。


測定器に期待したり、夢を見たい気持ちも分かりますが、
測定って、テレビドラマや小説や漫画みたいに、夢をみるのが目的ではありませんし、
自分の測定器、自分の知識や技術については、相当批判的に検討しながらやらないと、
とっても簡単に色々な間違いをしてしまいやすい分野なのです。

そういうわけで、「素人測定」や、「ボランティア」の場合は、まあ、間違っても当たり前、
というくらいの感じもしますが、測定器の販売やサポートとかする場合や、
他の人の為に測定をする場合には、「社会的責任」みたいなものも発生するかと思いますし、
間違いをした場合の、「自分や周囲への影響」も、もっと大きくなる可能性もあるので、
該当する皆様方におかれましては、是非、「カウント数」の重要さ、
「ピークの成長の仕方」などを早急に(再)認識して頂ければ、と思うのであります。





Date: 2015/08/28 12:21(27)  ---  Name: nkom


ああ・・・、と、思ってしまう様な発言があちこちに・・・ここそこに・・・



Date: 2015/08/27 06:20(56)  ---  Name: nkom


IFKR系は、値段が高すぎる点を除けば、機械としては興味深く、
「ソフトの改良を重ねれば」もっと使いやすくなり、
使用している測定の初心者の方たちの学習も早くなると思うのです。

特に、ユーザーが、BGをとる時のチャンネル設定を間違ってしまったり、
グロスとネットのカウント数やレートがおかしなことになっている時に、
警告して、教えてあげるような仕組みとかをつけた方が良いかもしれません。

また、ピーク法で計算する場合は、その計算で使用したROIとベースラインを
画面で視覚的にも、数値でも表示する、とか、
レート、係数率は、測定時間が違っても、基本的には変わらず、比較しやすいので
カウント数だけでなく、レートも表示するなり、切り替えられるようにしておく、とか
濃度の表示にしろ、「検体に含まれる放射能」+「検体重量」+「濃度」みたいに、
考え方の筋道が整っていて理解しやすい形にしておく、とか、
色々な改良の余地があるかと思います。


でも、あーだこーだ言っているよりも、前から思っていたように、
テレミノMCAでそういう事柄を充実させて、
IFKRだろうが、AT1320Aだろうが、テキスト形式でデータを保存して、
テレミノMCAで調べた方が、視覚的にも数値的にも
見やすくて分かりやすくて、納得しやすい、という風にしてしまうのが
一番手っ取り早いのかも。

そうすると、違う機種を使っている測定所の間でも
テレミノMCAの上で、直接スペクトルや数値を比較したり出来ますし。

まあ、非電化の新方式を除いて、既にデータの読み込みや表示は
出来ているのですが、やはり、トリウム系の応答関数を作って、
ウラン系とトリウム系の存在に対応したピークフィットをどうにかしたり、
残っているテストやバグ取りの作業をしたりして、
K−40とCs134,Cs137については、一応「お任せ」でもって、
それらしい数値が出てくる様にしておかないと「素人受け」しませんので、
そっちの作業をサボらずに進めるのが一番良いのでしょう。



Date: 2015/08/26 13:06(17)  ---  Name: nkom


ここでも、酷い間違いが沢山。
「国が定めた」とか、ちょっと酷すぎます。
http://cdcreation.grupo.jp/blog/760946



検出限界の解説文もありました。これは、メーカーの方が書いたもの。
計算の仕方は、単にBGのカウント数の平方根を標準偏差をして、
その三倍と検出限界とする、というもので、測定時間を考えていないし、
検体スペクトルの部分を考慮していません。
http://cdcreation.grupo.jp/media/4896406.pdf

私は、レート(cps=カウント数/測定秒数)で考えるのが好きなのですが、
おそらく、特定の固定された測定時間で測る習慣があったりして、
測定時間を気にせず、カウント数でもって比べたり考えたりするのが
好きな方なのかもしれません。

と、思って読み進んでみましたが、おそらく、この方は、
検出限界についての色々な詳しいことを誤解していらっしゃる可能性が高いです。


こういう記述があったりします。
  「参考までに、NaI(TI)を使用した食品測定の場合は、検出下限の算出に、
  日本アイソトープ協会のCs-137標準線源を使用しています。
  下記の様のパックグラウンドが殆どない状態で検出下限を計算しています。
  この方式であれば、簡単に0.数Bqの値になります。
  簡単に見積もっても、短時間で0.3Bq/Kgの検出下限になります。」


検出下限の計算と線源とは、直接の関係はありません。
単一線源であろうと、標準玄米の様なものであろうと、
「バックグラウンド」は常にあります。
BG差分において、特定のピークのベースラインの下の部分が殆どない場合でも、
検体スペクトルのレートも計算に噛ませるわけですし、
BG差分につかったBGのレートもあるわけですから、
短時間で検出下限が下がるわけがありません。


このページに、これらの点などについて、私が書いたまとめとか、参考資料のリンクががあります。
http://pico.dreamhosters.com/UncertaintyInfo.html



また、IFKR用のソフトが公開されていて、誰でもダウンロードできるみたいです。
X線測定用の2010年ころのもの、IFKR用、MFKR用がありました。
ライセンスについては、一切なにも書かれていません。
http://www.ipic.co.jp/ifkrinfo.html

IFKRの説明書、というのもあったのですが、詳しいソフトの解説はありませんでした。
データファイルさえあれば、読み込ませて実験すれば良いのでしょう。

ソフトは、別にMCAが繋がってなくても動きますし、色々実験できます。
ただ、SPE形式とかの標準的なファイルを読み込むことが出来ないので、
IFKRのバイナリー形式に変換するか、実際のデータファイルがないと、面白くないでしょう。

書き出すほうは、テキスト形式のファイルに出して、
テレミノMCAや、Gnuplotとかで、あれこれ出来ます。


今のところ、検出限界の文書と、ソフトのメニューとか画面を見てみて、
K−40とかの上段が検体スペクトルのカウント数(グロス)で、
下段がBG差分のカウント数(ネット)というのは、正しかった様です。
従って、グロスとネットが同じ数値だったり、ネットが(特にK−40で)
マイナスになっている場合は、何か「変なこと」が起きていると思われます。




Date: 2015/08/26 11:28(29)  ---  Name: nkom


IFKR系の情報としては、以下のページにリンクが集まっていて便利です。
ただし、書かれている内容には、私から見ると色々と問題のある記述が
ありますので、「とても正確な情報源」としては利用しない方が良いでしょう。
http://cdcreation.grupo.jp/free735755

例えば、「ドリフト」(この場合は、温度によるズレ)についてのページで、
http://cdcreation.grupo.jp/free741481
「ドリフトは急激な温度変化などにより横方向にずれる事があります。」とか、
「出来る限りマイナス要因を減らす為に急激な温度変化はさけたいものです。」と
書いてあって、「急激な」温度変化がドリフトを引き起こし、「急激」でなければ
問題がないかの様な誤解を与えやすい記述があります。
この説明を書いたご本人も、もしかしたら、その様な思い違いをしているかもしれません。
実際には、ゆっくり変化しようが、急に変わろうが、
温度の変化はピーク位置に影響を及ぼします。

また、測定中の温度変化は、分解能を低くして、ピークの幅が広がることになります。

測定中に一定の温度を保った場合、高めの温度で測ったものと、低めの温度で
測ったものでも、ピーク位置に違いが出ます。分解能にも多少差があるそうです。

なので、CsIだろうがNaIだろうが、とても良く出来た温度補償が付いているのでもない限り、
温度変化は最小限にした方が、測定の信頼性や正確さは高まります。


また、ピーク位置の例として、まだあまり成長していないスペクトルの画像でもって
ズレを解説していらっしゃいます。

「下の画像は2Kchで測定して1Kchで表示していますがK40の1460Kev(730)の赤い縦のマーカーに注目して下さい。
ピークが左方向に12ch(6ch)ずれている事がわかります。」


この場合は、まあ、そんなに問題はないのかもしれませんが、
ピークの位置というものは、それがきちんと成長して、釣鐘状になった時の頂点だと
考えておいた方が良くて、こういうまだギザギザして尖った段階では、
必ずしも「一番高いところ」がピークの頂点と一致するとは限らないのです。
もう少し正確にやりたいのであれば、もっとスムージングをかけるか、
ピークフィットして、その頂点を利用した方が良いでしょう。

逆に言うと、ココで解説されている様な方法で「合わせた」つもりになっていると、
実は、校正を狂わせてしまう可能性もあるということです。


次が、もう少し問題なのですが、こうあります。
「そして下の画像の赤い縦のマーカーを見るとCs-137の660Kev(330)近辺にピークが来る筈ですが同じように左にピークが約12ch(6ch)ずれているのがわかります。」


これが問題なのは、この画像のスペクトルには、
目視でピークの位置を断定できるような「まともなCs137のピーク」はありません。
縦の赤線でマーカーが出ていますが、その位置の突起は、単なるギザギザの一部で、
もっとスペクトルが成長したり、もっと強いスムージングをかけることが出来るのなら、
ギザギザを均して、なだらかな膨らみが見えてくる可能性がありますが、
この画像を見ただけでは、どこがどう膨らんでいるのか、分かったものではありません。

これを見る限り、ギザギザのちょっと高めのものがあれば、
それをピークだと思って良いのだと誤解なされている。
つまり、この解説をなされた時点では、「どういうものがピークなのか?」という点を
あまりよくご理解なされていなかったものと思われます。

で、「ピークってなんなのさ?」というのが、良く分かってなければ、
ピークで利用して校正を行うのにも問題があるわけで、
販売店の方がこういう説明を行ってしまっては、ユーザーの方に誤解を与えてしまいます。

また、ピークについての理解は、量的な推測にも非常に重要ですから、
シンチレーターが放射線によってピカピカを光って、それをフォトダイオードや
光電子増倍管(PMT)などが電気信号に変え、その強さ測って、
エネルギー別に見合ったチャンネルに振り分ける、という
ガンマスペクトル測定の仕組みを理解して、
「結晶の性質」やら「光から電気信号への変換の過程」やら何やらで、
本当はもっと鋭い筈のピークがなまって、ぼやけて、ばらけて、広がり、
次第に測定器の総合的な分解能に相当する釣鐘状のピークに成長する、という点と、
チャンネル当たりのカウント数が少なくて、十分に成長する前のスペクトルは、
ギザギザで、そのまま目視であれこれ断定出来なかったりする、という点を
是非早めに認識して頂けると良いのですが。

CDクリエーションの方が、色々と一生懸命にやっておられて、
興味深い製品などを提供なさって来たのは存じておりますが、
製品の販売や、特にサポートを行う場合、もっと正確で詳しい知識や経験が無いと、
お客様に迷惑をかける結果になりかねないと思います。



Date: 2015/08/26 07:39(49)  ---  Name: nkom


IFKR−ZIPの表示の読み方ですが、このページ、特に最後のビデオを見ると、
画面右上のところが、Cs−Allの場合は、シングルチャンネル法で、
Cs−13xの場合は、ピーク法なのかも。
http://cdcreation.grupo.jp/free735782

で、画面右上のカウント数の表示は、「ReCalic」ボタンを押しても
変化がないので、常に元のシングルチャンネル法のカウント数を表示していて、
ピーク法のカウントなりレートは、濃度表示から逆算しないと分からないみたい。



でも、測定値専用掲示板を見ていたら、新たな疑問が・・・
http://geiger.grupo.jp/bbs/

Cs−134のところの下段はマイナス表示(−271)だけど、濃度は、0.5Bq/kg。
Cs−Allとなっているので、(多分・・・)ピーク法ではない筈。
何故なのでしょう?


K−40の上段と下段のカウント数が同じ(71)。
BGがゼロ、つまり、BGの設定が無い、という可能性も考えましたが、
Cs−AllやCs−134は、上段と下段の数値が異なるので、BGのファイルは、あるのでしょう。
今のところ考えられるのは、チャンネル設定の異なるBGを使ってしまっていて、
一定のチャンネルより上では、BGがゼロになっている、という可能性。



K−40の下段はマイナス、だけど濃度表示が出ている。
上段と下段は、一体、何なのだろう?
設定によって、表示される数値が違う、という可能性もありますが・・・
あるいは、やはりBGをとった時のチャンネル設定が、検体の時と違っていた、ということなのか?



設定画面や表示画面の表記が乏しいので、説明書を読むなり
実記でもって色々実験しないと、なんか良く分からないかも。


東海アマ様か、他のIFKRユーザーの方、あるいは、
販売店やメーカーの方に問い合わせた方が早そう。




また、「ピークがあります」という勘違いをしている方がやっぱりいらっしゃいました。
色々と誤解を生みやすい情報が溢れているので、一部のユーザーの方が
こういう風に思ってしまうのも無理はないですが。


尿 M.Y 投稿日:2015年05月19日 22:01
(1)
1.検体名:尿
2.産地:東京都東部
3.検体量:296.6g
4.測定時間:57,600秒
5.測定値:定量下限値未満
  ※Cs-137(662Kev)=330Kev近辺にピーク有


(2)
1.検体名:尿
2.産地:東京都東部
3.検体量:256.3g
4.測定時間:57,600秒
5.測定値:定量下限値未満
  ※Cs-137(662Kev)=330Kev近辺に明確なピーク有
   重量が既定の量320gより2割程少ないので表記0.4Bq/Kg×1.25倍で0.5/Kg(参考値)になるが1Bq/Kg未満と判断




Date: 2015/08/26 05:26(11)  ---  Name: nkom


以前にも書きましたが、福島以外では、茨城県が事故当時のスペクトルを公開しています。
ただ、スペクトルのデータを公開するのではなく、画像をPDF形式で公開する、という
かなり残念な形式になってしまっていて、これを数値に戻すのは結構手間がかかったり
面倒なので、茨城のデータによる3Dスペクトルは作っていません。

PDFに加えて、福島県が行ったように、数値データの形で公開して頂けると、
大変有り難いです。

茨城県が公開しているスペクトルデータとその解説とか。
http://www.pref.ibaraki.jp/seikatsukankyo/gentai/anzen/nuclear/radiachion/mca.html


Date: 2015/08/26 05:18(26)  ---  Name: nkom


川内原発周辺の(線量と気象)情報マップのページを見てみましたが、
25日の台風の通過で線量が上がったものの、「異常」な変化はないようです。
http://pico.dreamhosters.com/SatsumaSendaiMapOfRadInfo.html


川崎の浮島周辺もこのところ落ち着いていて、スパイクとかも出ていません。
http://pico.dreamhosters.com/KawasakiKanagawaRadiationGraph.html


これも何度でも言いますが、こういうモニタリングポストは、多くのものが
スペクトルを取る機能が付いており、その全部かどうかは知りませんが、
スペクトルのデータを県とかに送信しているのですから、
「線量だけ」でなくて、スペクトルのデータも発表して頂きたいものです。

そうすると、福島の原発の巨大事故の当時の3Dスペクトルを見ても分かるように、
一体どんなことが起こっているのか、起きたのか、という判断がしやすくなります。

SPEEDIの様なものもそうですが、現在と過去のスペクトルデータを出す様に
自治体や県や規制庁や議員などなどに、色仕掛けでも普通の陳情でも
何でも良いですが、相手がうんと言うまで粘り強く働きかけてくれる方がいると助かります。

2011年3月15日に福島市の紅葉山に大きなプルームが来た時の3Dスペクトル。
(ガンマ線スペクトルではあまり目立たないプルームは、それより前に来ていますが)


http://pico.dreamhosters.com/FukushimaDisasterSpectrum3D.html



Date: 2015/08/25 12:00(15)  ---  Name: nkom


あれ?これなどうしたことなのだろう?
K−40の上段もマイナスになっている・・・
上段は、検体スペクトルで総カウント数だと推測していたのですが、違うのか?



後、この機械(ソフト)で、改良した方が良さそうな点がもう一つありました。
それは、一体どっちの方法で計算した数値なのか?というのを画面に表示することです。
まあ、カウント数と濃度の比を見ると判断できるかもしれませんが、面倒です。



また、資料を探していて、この文書を再度見てみたのですが、
http://www.smtx.co.jp/ifkrzip.pdf.pdf

以下の部分は、やっぱりいただけない。
==========
   iFKR-ZIPはなぜ、2kchで測定するのですか?

   iFKR-ZIPには、4kchの高性能MCAを使用しています。一般的には、Ge(Li)は4kch以上、NaI(Tl)は256、512chが推奨されています。弊社が2kchで測定する理由はCsI(Tl)検出器の潜在能力の高さとデータースムースをあまり使用したくないのが理由です。CsI(Tl)はNaI(Tl)と異なり分解能やエネルギー直線性が格段に優れていてMCAの微分非直線性が充分良ければGe(Li)スペクトルと対比して見るとGe(Li)でなければピークが出ないと思われていた物がCsI(Tl)では見えます。
   確かにGe(Li)に比べると分解能が悪く幅の広いガウス波形では無理に思えますが、ガウス波形の頭の数chはかなり尖がっています。これが意外と幅の狭いピークとしてちょこっと頭を出します。
===========

メーカーの方が、こんなことを言ってしまったら、何も知らないユーザーの方が
ギザギザや気紛れの出っ張りを「ピークだ」などと勘違いしてもしょうがないです。

CsIとNaIで、分解能に大きな違いはありません。
実際問題、IFKRの分解能は、AT1320AやEMF211などと比べ、
優れていると思える場合は今までありませんでした。

つまり、IFKRでも、NaIと同じ様なチャンネル設定にした方が、
恐らく使いやすいかと思います。


ただし、ピークフィットする場合については、私も、細かいチャンネル数の方が好きです。
それも程度の問題、カウント数の問題ではありますが。
========
   現在はまだ使用していませんが、スペクトルのピークフィトを行う場合ch数が多いほど精確になります。
========



スムージングについては、チャンネル数を減らすか、感度を上げるか、測定時間を長くするか、
検体を増やすか、濃縮するか、とにかくカウント数を稼げば、スムージングの必要は減ります。
「素人が使える機械」として作ったり売るのであれば、スムージングの程度に幅を持たせた方が良いでしょう。
でないと、ギザギザ、うねり、突起をピークと勘違いする人が、下手をすると沢山出てきてしまいます。

また、ここの最後の部分も、正直「止めて欲しい」と思います。
こういう文言のせいで、ユーザーの皆様がしなくても良い勘違いをしたり、
摩擦を経験したりすることになるかも。
========
   データースムースは多かれ少なかれデータを壊すので、特に見えていたピークがデータースムースを掛けると消える為、弊社では2kchでデータを取ってデータースムースを掛けてから1kchに圧縮する方法を取っています。1kchにするのはJIS化等では1kchだ標準になる可能性が高いので合わせてあります。 弊社のスペクトルはデータスムースをあまり強く掛けていませんのでスペクトルがギザギザに見えますがノイズでは無くピークもかなり有ります。
========



Date: 2015/08/25 11:30(50)  ---  Name: nkom


素朴な疑問

IFKRのページを見ていて、幾つか疑問が沸きました。
http://cdcreation.grupo.jp/blog/1014913


測定したまま(?)の表示


再計算(ReCalic?)ボタンを押した後の表示



私は、今まであまり詳しくIFKRの画面の表示や各種ボタンの機能とかを
考えたことがありませんでした。

自分の使う機械でもないし、値段が高くて、素人測定向きではない、
というのもありますが、基本的にはピークの有無や高さを目視で
判断する方法を重視しているので、どういう風に出てきたのか
はっきりしない数値は、あんまり注目していなかったからでもあります。


しかし、IFKR−ZIPでの微妙な検体のスペクトルや数値を見るに付け、
どの数値が何を表しているのか、少し興味が沸いて来て
色々と見ていたのでした。


まず、「どうでもよい事柄」なのですが、IFKRの「ReCalic」というボタンは、
「再計算」という意味合いなのかもしれませんが、「Recalc」に直した方が
良いのでしょう。
カタカナだと、計算「Calculation」のことを何故か「カリキュレーション」と書く場合があるようで、
このボタンは、そのカタカナ読みから、CalcとせずにCalicになってしまっているのかも。


で、問題は、このボタンの機能です。
IFKR−ZIPには、二つの計算方法があって、
シングルチャンネル法と、ピーク積分法が使え、
測定したままだと、シングルチャンネル法、
「ReCalic」ボタンを押すと、ピーク法になる、みたいな
説明がなされていたりします。


で、IFKRの取扱説明書を読むと、Bq CalicがBG差分の計算用で、
ボタンも大きいし、多分これが既定で使われるシングルチャンネル法の
計算をさせるボタンなのではないかと思います。(あんまり自信はないですが・・・)

IFKRの取扱説明書
http://www.ipic.co.jp/ifkr254508ver12.pdf

設定画面


で、「ReCalic」をボタンを使ったピーク積分法は、どんなことをしているのか?
というと、多分、単純に、ROIの外側の数チャンネルの平均を出して、
左右両側を結んだ線をベースラインとして、総カウント数から、
ベースラインの下の部分を差し引いて、濃度を計算しているでしょう。

そうだとすると、上記にReCalicを押す前と押した後の、
K−40の濃度の違いが説明できます。


ここで、画面右上のK−40とあるところの上段の数値が
検体スペクトルの設定されたROIの範囲(色付けされた部分)のカウント数(Gross)で、7928カウント。
下段がBGスペクトルを引いた分(ネット、Net)で、5268カウントなのだろうと思いますが、
色が付いた部分がK−40のピークと一致していない点に注意してください。

そして、BG差分のカウント数から計算した濃度は、204.7Bq/kg +−2.9Bq/kgなのに対し、
ピーク法だと147.1Bq/kg +−3.1Bq/kgと四分の三くらいに減ってしまっています。

これは、K−40の緑の色が付いた部分の右端が、温度変化などでピークがズレたのか、
実際のピークの端よりもかなり内側になってしまい、その結果として、
ベースラインの右側を決定する点がかなり上の方になってしまい、
当然、ベースラインが持ち上がって、ピーク部分のカウント数が減ってしまった、
ということだろうと思います。

Cs134がピーク法ではマイナスになっているのは、ROIの右側に
出っ張った所があるので、やはりベースラインの右側が本来よりも高くなってしまい、
そのせいで起こった現象でしょう。

Cs137については、ROIの左右に凹んだ部分があるので、
本来よりも低いベースラインで計算してしまい、
実際には恐らくほとんど含まれていないCs137をかなり検出してしまっているのでしょう。

つまり、「これくらいのギザギザのあるスペクトル」の場合について言えば、、
この機種のピーク法は、あまり正確ではないと言えるでしょう。


この問題は、ベースラインを計算するためのROIの両側の幅などを設定で変えたり、
「適切なスムージング」を施した後のスペクトルでベースラインを計算する様にする、とか、
そういう「逃げ方」もあるかもしれませんが、この機種でそういう事が可能なのかは、不明です。


IFKR−ZIPのスペクトルをテレミノMCA(希望者に配布中のバージョン)に読み込んで、
ピーク機能でもって自動か手動でピークをあてがって、そのカウント数を読み取り、
シングルチャンネル法のカウント数と濃度の比率でもって濃度を出すのが、
多分、現状では一番簡単で、信頼性が高い方法かも。


ピークがまあまあ大きい場合は、そんなに問題にならないのでしょうが、
ピークがちゃんと山になってなくて、その左右もギザギザがあるなら、
IFKR−ZIPのピーク法の表示は、相当疑ってかかった方が良いでしょう。


また、ピークがちゃんと山になっている場合は、Gnuplotとかで、
ピークフィットした方が、気分も良いし、視覚的にも、数値的にも、
何がどうなっているのか全部確認可能なので、その方が良さそう。
http://pico.dreamhosters.com/PeakFitWithGnuplot.html


将来的には、メーカーや購入店に相談して、色々と改良してもらった方が良いです。
私などが使っている素人測定用の安価な機械でもないし、
私が改造しているテレミノMCAの様な、無料のオープンソースソフトでもなくて、
良いお値段のするメーカーものの商品なのですから。



Date: 2015/08/24 10:40(27)  ---  Name: nkom


安全安心派よりの方の場合は、多少知識が豊富だと思われる方も多いのですが、
硬直してる、というか、疑いたがらない、というか、「分かったつもり」になりやすい、というか、
安全か危険か?という考察でもそうですが、測定のことに於いても、なんか「疑問」を
あまり持たない人が多い様な気がします。

例えば、浮島の「非破壊検査」と思われる場合が多い線量の異常にしても、
本当にそうなのかどうかは、非破壊検査の実施場所と時間と調べ、
モニタリングポストのスペクトルデータと照らし合わせないと、
本当にそうなのかどうかは、はっきりしない分けですし、
それ以前の問題として「雨だろう」とか、実際のデータも見ずに思えるのなら、
まあ、幸せなことなのでしょう。



危険派にしろ、安全派にしろ、多くの皆様は、「本当のところ」を知るために、
面倒臭い調査をしたり勉強するよりも、
   単純に「決め付ける」、「分かったつもりになる」のが
とっても大好きな様に思われます。



まあ、考えるのって、一種の柔軟体操や筋トレみたいな感じで、
疲れたり、つらかったりしますし、やらないで済むなら、その方が楽ではありますが、
やらないと固まったり衰えたりするのも、柔軟体操や筋トレと似ているかも。

で、学問的なことって、楽器の演奏や言葉を覚えるのと似ていて、
指使いや発音を真似たりして慣れ、フレーズを真似たりして慣れ、
良い先生がいたり、良い教則本があったり、自分が最初から良く工夫するなら、
効率が良くて、先に行っても邪魔にならない様な技術の学び方をしたり、
基礎が出来てくると、フレーズを組み合わせたり、変化させたり、
変なフレーズを作ってみたり、「目的に合わせた」フレーズを作れる様になったり、
ようやく少し単純なことについては使い物になるのかもしれません。

でも、「ピークは、カウント数が増えるにつれて、
使用している測定器の分解能に見合った幅を持つ釣鐘型に近づく」という
スペクトル測定による核種判定の初歩的な基礎を何故かすっ飛ばしてしまうと、
本当は「何がピークなのか分からない」ままに、酷い勘違いを続けて
自分の時間や労力を無駄にするだけでなく、まわりの人にも誤解を
ばら撒き続けてしまうことになるので、若干5,6名の素人測定、および
測定所の方は、出来たら、早めにご確認頂けると幸いです。


しつこく言うと、「分解能に見合った幅が無い」なら、
それは、多分ピークじゃないです。

分解能があまり良くない測定機で、やたらと沢山のチャンネルをとっても、
それぞれのチャンネルのカウント数が少なくなって、バラツキが減らず、
結果的にスペクトルの解釈が(そのままだと)難しくなるだけ。

遮蔽も増やしたくない(あるいは、増やせない)、
温度管理もしたくない(あるいは出来ない)、
温度補償もしたくない(あるいは出来ない)、
感度の高い測定器も使いたくない(あるいは買えない)、
測定時間も長くしたくない(あるいは出来ない)、
などなど、まあ、事情は色々あるかと思いますが、
何もやらなかったら、何も変わらないのは当たり前です。

たとえば、テレミノMCAとかベクモニとかを使っている場合なら、
チャンネル設定を変えれば、ギザギザの状態がかなり変わります。

テレミノMCAの場合なら、チャンネル設定以外にも、
私にメールを寄こして、現在改造中のバージョンを使うと、
スムージングの範囲が非常に拡張されているので、
うねりをピークと取り違える可能性は減らせます。
また、ピーク情報機能でもって分解能を調べたり、
それに見合った釣鐘型のピークを出したり、
その部分のカウント数やレートを自動的に計算したり
推測したり出来るので、ピークでないものを
ピークだと勘違いしてしまう悲劇や喜劇を大幅に減らせます。

IFKR−ZIPの場合、チャンネル設定を変えられるのかどうか知りませんが、
スムージングか、チャンネル設定か、その両方を変えれば、
特にBS差分のスペクトルで、ギザギザが残っている状態でもって、
「ピークだ」「ぴーくでない」とか、無理な断定をする必要も減るし、
Cs134とCs137の比を確認するのを忘れず、K40の山のズレとかも良く見て、
機械の出す数値の信頼性をもう少し疑ったり、厳しく確認する様にした方が
良いだろうと思いました。

また、IFKR−ZIPのスペクトルは、テレミノMCAで読み込んで、
付属のソフトよりも自由な形で表示することが出来るますし、
エクセルやKscpectとか、他のソフトでもって解析することも
そんなに難しくはありません。

AT1320Aや非電化の場合は、BG差分を(必要なら他のソフトで出して)見ないと、
微妙なスペクトルのピークは、目視では分からないと思います。

で、ソフトのピーク判定も、その方法によって、さらには、カウント数や
バラツキの度合いによっては、上手くいかない場合もあるでしょうし、
微妙な検体については、ゲルマでクロスチェックというのも良いとは思いますが、
「数値合わせだけ」でもって、見えているつもりや大丈夫なつもりに
ならない方が「より確実」だろうと思いました。



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